恋人がまたこちらに遊びにきてくれた。
8:30ごろ集まって、私が図書館で働いていた頃大好きだった喫茶店に連れて行く。
私が働いていた図書館もその喫茶店も大きな神社の参道沿いにあって、当時はシフトを間違えるたびにそこでぼんやりコーヒーを飲んで過ごしたんだよな。
恋人も私も、マスターおすすめのコーヒーとトーストのモーニングを選んで、しばし雑談。恋人は夜行バスがしんどかったらしく、ちょっとやつれていた。
もそもそ話しているうちに、モーニングがきた。マスターが気を利かせてくださったのか、私のコーヒーはケニア、恋人のはキリマンジャロ(だったかな)。一杯目は自分のを、二杯目は交換して飲めてうれしかった。
フレンチプレスで出されるとたっぷり飲めていいな。トーストは生地がほどよく甘くて、むっちりしていた。
おいしい〜と言い合いながら、大好きな喫茶店のモーニングを恋人と食べたら、これまでの疲れや悲しみがしゅわしゅわととけていく感じがした。
窓の外はけやきの木陰で、ひんやりした空気。さわさわとうす緑色の風が吹き抜けていって、とても気持ちがいい。
お店を出て、そのままのんびり銭湯へ行ったり散歩したり。私たちのデートは毎回こんな感じ。
夜は2人で酒盛りをするつもりが、強めの缶チューハイをふた口ほど飲んだら私のお腹や関節に湿疹が出て、そのままぐったり眠ってしまった。くやしい。おすすめの本を2、3冊、高らかにプレゼンしてから持たせるつもりだったのに。
午前のバスで恋人は新潟に帰る予定なので朝早めに起きて新宿で朝ごはんを食べようねと言っていたのに、2人とも…いいえ、正直に言うと主に私がだらだらと支度したせいで朝ごはんどころではなくなった。帰らないでとふてくされたり、私の髪の毛にドライヤーをかけてくれと駄々をこねたり。(ドライヤーはかけてくれたけど、だいぶラフな手さばきだったから当然ばさばさになった。よくわからないけどうれしかったので、文句も言わず大人しくしていた)
2人でアパートを飛び出して、近くのセブンで揚げ鶏を買ってむしゃむしゃしながら駅へ向かう坂をかけのぼる。
離れて暮らしているから月に1度会うのが精一杯だけど、恋人に会うたび幸福でいっぱいになる。がさがさの心がふくふくつるつる、まるくなる感じ。
また来月ね!と言って、さわやかに恋人はバスに乗り込んで帰っていった。
私もこのさっぱりとした別れに慣れてきたので、またねー!と手を振って、ちょっと新宿を練り歩き、ガンジーでビーフカレーを食べてまた自分のアパートに帰ってきた。
よそゆきの服をぽいぽい脱いで、いつものガーゼクルタに着替えてから泥のように眠った。昨日の湿疹がまだ引いていないのに辛いカレーを食べたのはよくなかったかもしれないな。でも身体がほかほかあたたかく乾いていて、心地よい眠りだった。